白雲

職人さんたちがばたばたと養生や家具の移動。私は物理的に家の中に居場所がなくなり、外で3時間ほどを過ごすことになった。部屋着のままで、ばたばたと追い出されるかたちになったので遠くにも行けず、本を持って、わが家の前の団地の公園のブランコに。

雪の降るような日にコートも着ないで出て来てしまった。寒い。でもときどき陽がさしてあたたかくなる。恩寵。ときどき鳥が近くまで来て、さらにときどきはこっちとあっちとの鳥たちが啼き交わす。持って出た本は“流れゆく白雲の道”という翻訳書。急いで読み進む本ではなくて、おしゃべりをするための本でもない。偶々机の上にあったので持って出たが、曇ったり晴れたりする日の、鳥や花のある傍らで、寒い戸外で読むには、じつに相応しかった。