ときには雪も降る

山あいの温泉まで行こうとしたが、山越えの道に来るともう雪が降ってきた。
途中のレストランでひるごはんだけ食べて、平地のほうへ帰ってくることにした。
窓からみはるかす遠くの山は、雪の具合で灰白色にとじこもったり、一部が見えて一部が霞んだり。刻々と移り変わる。
浮ついたところのない、厳しいような、清々しいような、凍結された風景。
枯れた草原で子どもたちが「だるまさんがころんだ」をしてあそんでいる。楽しそう。ストップする、鬼を代わる、ルールのあるあそびなんだ。一緒に真剣にあそんで楽しいんだ。ルール違反しない人とならば…。
 
この休み中、調べものをしていて、偶々見つけたエスペラント詩の一節*1

Cervoj montaj, o, awskultu! Ventas, pluvas, 鹿たちよお聞き。風が吹き雨が降り
iam neghas, tio estas sola vero. 時には雪も降る。それが唯一の真実
Kiu vin vivigas, tiu vin mortigos. 君らを生かせるものが君らを死なせる

 
当時のことに思い馳せる。

このところ、がっかりして、悲しいきもちになっていたことがあった。悲しいままでいては詮無いのだとわかってもいた。雪に白く消されてリセットする。そんなふうに意味づけをしたりする。
 
今のうちだけすこし感傷的になることを許して、そうして山から街に帰る。