いろづく

ヤボ用があって、キャンパス内を遠くまで横切って歩く。
工学部内の通路は、木犀のかおり。
文系棟のあたりでは銀杏と、なまえをしらない円満なすがたの木との葉っぱが、
橙から黄色にかけてのあたたかい色味にグラデーションになっている。
広大なわりに木々の茂みの少ないキャンパスだけれど、
こんなにうつくしい。
 
ひとをだいすきになってつながれないのだったらせめて
モノであるとか、ひとではない生きものであるとか、コトであるとか、
だいすきになってはくれなくても、じぶんからだいすきでいることができる何かと
つながって世界にいられたなら
そんなにやたらな酷いことをするなんてできないのではないか。