人を楽しくする作品

ミュージアムショップとカフェのあいだの通路に、たくさんのドットで囲まれた小さな空間があった。
なんだろう?と入ってみると、丸窓がある。そこを覗き込むと、丸がたくさん映りあった万華鏡のようなながめ。覗いているじぶんの顔もその万華鏡の一部になってたくさん見えている。たのしくなる。
草間彌生の作品とのこと。なるほどー。
 
じつは、ここでひらかれていた「華人展」*1に妹が作品を出していて、それを見るために行った。
 
彼女のは、繭のようなかたちの梱包用のクッション材(おやつのカールをポリでつくったような白いの)をつかってかまくらをひきのばしたような造形(花器)をつくり、その上部の穴やなかの空洞のところに、紅いポンポンのような花と、アロエを薄くしたような葉っぱの花材を控えめにのぞかせたもの。白と、紅と、緑。やわらかな曲線と、尖った直線、おもしろい。
へえーと近づいてのぞいて、それからまたとおくに行ってながめる。たのしくなる。
「みんなそうするんだよー」と妹は言う。
 
しばらく会場を廻りながら、彼女の作品のほうもながめていると、ほんとうにそうなのだ。
他の数十の作品の前では、上品に一瞥して次に進む人、いけばな界のおばさん先生同士らしい尽きることなさそうなおしゃべりをしている人…、それが、彼女の作品の前に来ると、あらっ?!と近づいて、中をのぞいたり、触ってみたり、うしろをのぞいたり。にこにこ顔になる。おしゃべりオバサンたちも、そのお花のことでたのしさを分かち合っている。
 
いいな。芸術性のことは私にはわからないけれど、見て、近づいて、たのしくなれるようなもの。それを創るひと。姉バカだけど、そんな作品をつくる妹もなかなかのもんだとひそかに誇らしく思ったことでした。