「女将三代」

NHK にんげんドキュメント「女将三代〜能登・百年の老舗旅館」*1再放送でまた観た。
和倉温泉、加賀屋旅館の60代の現役女将さんと、嫁いできた30代の若女将(候補)さん。
女将の、課題にフォーカスした、裏で細やかに目を配り気を配り、それでいてきっぱりと全体を仕切り率いる仕事ぶりを追っていて、天晴れ。ほれぼれ。その背中を追いながら、苦戦し、でものびのび素直な若女将も、好感度高く描かれている。
 
仕事着は全てきものなのだが、その着すがた、所作も、天晴れ。
腰の据わったというのか、重心の落ち着いた、しかし緩慢ではなくて足取り速く機敏に動く、やわらかく伸びた、身体に馴染んだきもの姿。足腰のジョイント(股関節)から合理的に折りたたまれて、不必要に脊柱を曲げない、うつくしいお辞儀。手の所作、膝で移動する所作も、鍛えられた隙のなさ。ううむう…さすがだ。
どのように着付けているやら、衿のあんばいも私の理想とするほどよさ。帯も締め上げず、あそびがある。あれで1日働くのだから、着崩れない着方をしているのだろう。
着ているものも季節ごとに変わり、出しゃばらないが品のよいもので、ほれぼれ。
と、人のはたらくありようにもひかれるとともに、きものを着るその人のありようにもひかれたのだった。
 
それにしても、ご主人(夫さん)たちはいちども登場せず。この方々の結婚=旅館マネジメントとサービス最前線の仕事に就く、という面が大きいのか。そういう仕事は他にもあるだろう。受け入れる生き方。